ねこしごと

ねこと思い出ばなし、ちょっぴり金魚とカメ

俺はおにい、忘れられた男

俺の名はおにい

あのオバサンに生涯唯一愛された男

 

・・・そう思っていやしたよ

つい昨日までは

 

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それもそのはず

あのオバサンは

ため息まじりにこの俺を見て

いつもいつも言うんでさあ

 

ああ

おにい君ったら

今日もいい男じゃのお

闇夜も飲み込む

深く濃い漆黒のカラダ

澄みきったグリーンの瞳

おまけに

白く輝く牙がキラリじゃ ✨

 

・・・ところが残念

 

なんと

外見にそぐわぬ

妙に甲高い声ときたもんじゃ

 

あーあ ⤵︎

ガッカリだよガッカリっ!

ベッカムだよベッカムっ!

女子みんな言ってるしっ!

 

ふうっ、これって・・・?

 

ときどきわからなくなるんでさあ

いったい俺は

褒められてるのか貶されてるのか

この場合どっちなんでやしょう?

だいたいベッカムって・・・

この俺でさえ「古っ !」だってえのに

 

俺の声が甲高い妙に

いったいどこの誰がそんなことを・・・

あのオバサン

女子のみんなって言ってやしたね

 

するってえと・・・?

 

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・・・いやいや

絶対そんなわけないんでさあ

女子はみーんな俺様に夢中

ほらこの通り

いつだってペッタリじゃあありやせんか

 

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あのオバサンだって・・・はっ!

そうです  

俺は思い出しやした

その話なんでさあ

 

毎晩毎晩

バカがつくほど夜更かしのあのオバサンが

ゆうべひとりで

何かぶつぶつ言ってたもんで

薄気味悪くて気になった俺は

よーく耳を澄まして聞いてみたんでさあ

 

ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ

 

明日は水曜日だべ?

てえことは

朝から実家なんじゃ

 

ダンジョンじゃダンジョン

 

リビングに巣食う

ジジイの魔物が

ソファでTV見てるんじゃ

高校野球春の選抜じゃ

決勝じゃ決勝

 

明日はダンジョン攻略じゃ

たまには

早めに寝てみようかのお

さいわい

若手の寝かしつけも

珍しく終わったしのお

 

まあ

だいたいこんな感じの呟きでさあ

 

確かにそうかもしれねえや

あのオバサンは夜更かしが過ぎやすよ

大概にしねえとぶっ倒れやすぜ

・・・ったく

 

そう思った俺は

あのオバサンが少しでも早く寝れるよう

こっそり

アシストしてやろうと決めたんでさあ

とはいえこれ見よがしは嫌いなもんで

あくまでこっそりですぜ

 

するとあのオバサン

最後の力振り絞って

ウチ中の猫トイレ掃除を始めたんでさあ

 

リビングに1個

リビングの若手就寝ケージに1個 × 2

寝室に1個

廊下に1個

和室に2個

 

俺たちが用足ししたばっかりに

こいつぁ

申し訳ねえや・・・

ここはひとつお手伝いしやすか

 

ザッザカッザッザカッ

まっ暗い和室で屈んで猫砂掻いてる

あのオバサンの背後に

そーっと近寄って

 

オーエス!オーエス

オバサン!

オーエス

 

無言で念を送って

俺なりに精一杯応援したんでさあ

 

俺のその声援のおかげで

無事に掃除を終えたあのオバサン

 

ふうっ

これでやっと

一緒に寝れやすね

早く寝室に行きやしょう

あっ

ちょっと待っ・・・!!

 

ガラガラッ!

ピシャンッ!←戸が閉まる音

 

・・・それっきりでさあ ⤵︎

 

俺はたったひとり

真っ暗な和室で夜を明かしたんでやすよ

そりゃあ

声を限りに泣きやしたよ

あのオバサンの言うところの

その変な甲高い声で!

 

でも俺は

あのオバサンが耳栓して寝るってえこと

知ってやしたから

・・・渋々諦めて

和室の猫ベッドで眠ることにしやしたよ

ひとりっきりで・・・

 

白々と夜が明けていくのを見ながら

俺は思ったんでさあ

 

あのオバサンの愛なんて

所詮この程度なんでやす

もう俺は金輪際

愛なんてもんは

信じやしねえ・・・あっ!

 

ガラガラッ!←戸が開く音

 

ごめんよごめんよ

ほんに悪かったのお

 

夜中に薄々は

気づいとったんじゃが

なにせ

でっかいチビちゃん

腹の上で寝とったもんで

動くに動けんでのお にやにやにやにや

 

これこれ

男がそう甲高い声で

ヒィヒィ 💦

泣くもんじゃねえ にやにやにやにや

 

・・・勝手なことを言いやすねえ

 

俺はヒィヒィ大泣きしてやりやしたよ

もちろんわざとですぜ・・・わざと

 

ん?

そのとき俺は気づきやした

あのオバサン

よく見りゃ半笑いじゃねえですか

 

まったく冗談じゃないですぜ

とにかく常識人のこの俺だったから

なんの被害も出さずに済んだだけで

これがもし・・・

 

暴れん坊のおまめちゃんや

力自慢のあんこちゃんや

凶悪犯のごま子ちゃんや

小さいけど利口で達者なデビちゃんや

やることなすことトンチキな小僧や

小型の重機みてえな

でっかいチビ姉さんだったりしたら

 

俺は考えただけで

恐ろしいですよ

きっと和室なんか

めっちゃくちゃですぜ

 

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ったくあのオバサンときたら・・・

俺と小一時間

イチャイチャしなけりゃ

眠れねえ

そんなことばかり言ってたくせに

 

どうです?

その時間の分

ゆうべは

少しはよく眠れやしたか?

 

それだったら

俺は別にいいんでさあ

 

俺はこっそりそう思いやしたよ

 

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